曲げわっぱ用の板の調達はとても大事な仕事です
「そういえば、奈央さんって曲げわっぱを作るだけじゃなくて、板も準備しないといけないんですよね・・」と知人に言われまして、はい、全くその通りです。
商品製作や試作で使う材料の減り具合を見て、製材屋さんに頼んでおきます。それもあれですよ。今日頼んで明日着くAmazonではありませんので、数ヶ月前から逆算して頼んでおくわけです。
なぜ数ヶ月必要かというと、板を乾燥させないといけないから。
材料がないとほんとに話にならないので、これが一番大事。超大事。
もう一つよく言われるのは
「山に木がいっぱいあるから、端材で安くできるんでしょ?」
いいえ、残念ながらそれは全く違います。
(そうだったら良かったんですけどね)
もっと林業が盛んな他の地域だと、建物用の木をどんどん仕入れてどんどん売って、端材の量も多いので効率的にできるのかも知れませんが、私の町はそこまでの規模ではないので、そもそも端材が出ないです。
出たとしても、曲げわっぱに向く品質の木はものすごく少ない。なので、丸太から仕入れてもらって、製材屋さんに曲げわっぱ用にスライスしてもらってます。
これ、かなり贅沢なやり方です。「曲げわっぱ用に板をスライス」なんて、製材屋さんとしては面倒だからあまりやりたくないと思うけど、私があまりに「曲げわっぱを!作りたいのです!」と日頃言ってるので無理を聞いていただいてます。ほんとにありがたいです。
「神山町以外の杉(他県から木を仕入れて売るという製材屋さんもある)だったらたくさんあるから、それ使えばいいじゃない」とアドバイスもされるのですが、それは「神山曲げわっぱ」じゃないから、やらないの。
納得いくものを作るのに、手間がかかるのは当たり前。時間をかけるのは当たり前。
でもたまに、材料が全部スーパーで手に入ったら楽なのに!とか思いますが、未来永劫そうはならないので地道に町を走り回って板を確保しているのでございます。
それにしても、丸太を仕入れる人生になるとは思わなかった。
そんなこんなで、板から私が吟味しております、というお話でした。